増田治療室
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夫が思い通りに動かない主婦になったつもりで書いてみました。
院長の増田です。
90分コースで扱う内容は、多岐に渡りますが、例えばこんなこと・・・
「夫が思い通りに動かなくて、イライラしてしまう」 という状況を例に、主婦の気持ちを想像して書いてみました。
・・・
夫がちょっとしたことをイチイチ指摘してくる、苛立つことばかり言ってくる。
あれやってないね。とか、あれどうなった?とか。
言われると腹が立つような、細かいことばかり。
普段まったく鈍感で気にしないのに、昨日に限って、ゴミの日だってことに気がついて、「なんで今日、ゴミまとめてないの?」なんて言われる。
イラッとしたので、「こっちは家事から子供のことから、色々忙しいんだよ! やりたいけど、出来なかったんだよ!
そんなこと言うならお前がやれ! 家事なんてほぼ、見てるだけなのに、ちょっと手を抜いたときに、指摘してくるな!」
と言ってやった。
なんなら、過去にさかのぼって、家事をやらないことや、子育てに非協力的なこと、仕事だけして家のことを考えてないこと、実家の両親の間に入ってサポートすることも無く、ほったらかしなこと。いろいろ言いたいことは山ほどある。
そして、夫が自分自身のことはしっかりやってるか?と言ったら、そういうわけでもない。
たいして顔も稼ぎも良くないくせに、でかいことばかり言って、「俺の稼ぎで食ってる。」だ? それをとったらお前はただのカスなんだよ!
そもそも、夫の稼ぎが少ないから、私が子供抱えて働いてんだろうが! 取り替えたい浄水器も、汚れたカーペットもそのままなんだろうが!
買えば良いだって? 子供の学費も家のローンもあって、こっちはギリギリでやりくりしてるんだよ!
言いたいことは、言い出せばキリがない。本当なら、もっと言っているところだけど、そんなに言い過ぎても悪いかな、と思って、目をつむった。
はずだった。
夫の、次の一言が出るまでは。
次の一言は、「昨日、ゴミ出し、俺がやったし。」だった。
私は、ついにキレた。
たまたま家を出るときに、玄関に置いてあったゴミを「移動させた」のを、「俺がやった。」だって?
飼い犬の餌も「俺がやった。」だって?
ふざけんな、お前がやったことの何十倍の仕事をこっちは抱えてんだよ!ぼけ!
偉そうにしてないで床でも拭け、このカス!
そもそも、そのゴミも分別したのは、私なんだよ!お前が不燃ゴミも、可燃ゴミもわからず一緒にゴミ箱に突っ込んだものを、時間かけて分別してんだよ!
いつになったら、さけるチーズがプラゴミだってわかるんだよ、ボケ!
どっちでも燃えるから気にしない!?
お前は気にしなくても、町内会の人が気にするんだよ!隣の家の人だって気にするんだよ!
なんなら回収しないパターンだってあるんだよ!
やったことも無いくせに、でかいこと言うんじゃねええええええ!!
そもそも飼い犬もお前が飼うって言ったんだよ!本来餌を毎日やるのもお前だし、病院に連れてくのも、お風呂もドライヤーも、お前の仕事なんだよ!
餌代も病院代もトリマー代も、お前の小遣いからやるもんなんだよ!
会社の飲み会に参加できないとか、関係ねえんだよ!子供の教育にいいってお前が言ったけどな!
子供が動物アレルギーだってわかって、結局触れねえんだよ!お前のせいで、やることなすこと、全部うまくいかねえええええええんだよおおおお!!!
こんな話が、世の中には意外とたくさんある。
読んでスッキリする人がいるとしたら、きっと同じような悩みを抱えたことがある人だろう。
そんな夫婦の関係性で生活していると、次第に日々の表情は険しくなり、笑顔を忘れ、笑うのは子供を見るときだけ。
夫を同じ人間だとは思えなくなる。
そしていつしか、夫をゴミのように扱う。良心がある人は、不満を抱えながらも人として扱う。
扱いはゴミでも人でも、腹が立つことはあるから、その時はご飯をほったらかして出かけたり、へそくりで買い物したり、ちょっとした嫌がらせをして憂さ晴らしをしている。
この話には続きがある。
そんな日々がもう20年続いている。
20年経って、心を凍らせるのは得意になった。女として、ちやほやされる時期はとっくに終わってしまった。
肩は凝るし、腰も痛い。
趣味も無い。
いつか、白馬の王子様が現れて、私をさらっていってはくれないだろうか。などと夢を見ることも無くなった。
救いは子供だけ、だったのに、大きくなってからは、子供にかまうほど、避けられるようになった。
私は、いったい、この結婚生活で、何をしたかったのだろうか。
・・・
不平不満、愚痴で頭の中をいっぱいにして、家族のために、いろんなことを我慢し続けた先の未来に、ある日突然、急展開して幸せが待っている、なんて話は、聞いたことが無い。
どうしたら、この無限ループから抜け出して、当たり前の日常の中に、幸せを感じることができるだろうか?
・・・
不平不満や愚痴、人を責める気持ちが頭に浮かぶ人は、実は、とっても頑張っている人。
頑張っているのに、自分を認めていない人。
不平不満の出所が、実は自分にあるんだ、ということを理解して、今まで自分自身がよく頑張ってきたんだ、ということをしっかり認めて、私はよくやってきたなぁ、と心の底から思えるようになると、途端に周囲の人が優しくなる。
悪気無く、心を串刺しにし続けてきた、パートナーからの攻撃がピタッとやみ、サポートしてくれるようになる。
素直な思いを表現してくれるようになる。
・・・
自分に対する、周りの人からの態度は、実は、自分が自分にしている態度と同じだったりする。
だから、まず一番に見てあげるのは、自分の中。
そんな風にして、自分の内面に目をむけていくと、無意識に持っている暗黙のルールに気づくことがある。
たとえば、頑張ってきたことを「認められない」人によくあるのは、
これくらい出来て当たり前、とか
妻として、◯◯しなければいけない、とか
何か条件を満たさないと、自分には価値がない、とか・・・
大抵は、両親の生き方に関連した、「~ねばならない。」という思い込みが、邪魔をしている。
上の夫婦の会話の例で考えてみると、
女は◯◯しなければならない、完璧に家事が出来て当たり前、という思い込みを持っている妻が、それを果たせない自分は価値がない、と思い込んでいる。
実際は、毎日本当によくがんばっているのに、その頑張りを認めない、という妻自身に対する態度が、そのまま夫からの妻への態度として表現されている。
妻が、自分の内面に目を向けて、「私って、本当によく頑張っているわね。いつも、ありがとう。愛しています。」と、頑張りを認めて欲しい自分に気づいて、しっかりその自分を見て、抱きしめてあげると、自然と周りの人からも大切にされるようになる。
そして、無意識に刷り込まれた「〜ねばならない」を、一つ手放して、「何も完璧にできなくても、十分に夫から愛される私」を許可できると、夫はいつだって気持ちよく助けてくれるし、
感謝や労いの言葉、表現も出てくるようになる。
自分とのパートナーシップが、うまくいくと、目の前のパートナーや家族との関係も、もっと上手くいく。
いつだって、幸せの鍵は、自分が持っている。
自分を大切に。
自分に優しくなれると、頑張っている自分も、苦しんでいる自分も、見える。努力してきた自分も見える。どうにもならなくなって、絶望していた自分も。
どんな自分も、許せる。愛せる。
そうすると、感情はやわらかく、穏やかになる。
ひとつ、気づくたびに、どんどん自由になっていく。
世界は、いつもやさしい。
そんなことに気づいていくのが、90分コースの醍醐味の一つです。